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「東方伊吹伝」
第三章:永遠の蓬莱島

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紫さんに言伝を頼んでから数日経ったある日、ついに僕は船着き場に到着した。


「お~青い。空と同じ色なんだ、海って」


こちとら海を初めて見る山の住民なわけでして、この感動を一体どう表現すればいいのやら。
ただ青く、見渡す限り青い海が広がっているとしか言いようもございません。


「おう坊主、海を見に来たのか?凄いだろう海は。この先にあの大陸が広がっているんだぜ?」

「ほんと凄いですね。何時までも見ていたくなります。まあこれからこの上を行くんですけど」

「はっはっは!船乗りになりたいのか!そいつはいいことだ!けど大きくなってからな!」

「いや~、この船に乗って大陸に行くんですよ。はい乗船許可証」


はっはっは、この帝の許可証が目に入らぬか!!


「こいつは・・・?帝の許可証!?坊主、いや坊ちゃん、貴方様はいったい・・・?」


驚いてる驚いてるw


「とりあえず、案内してくれる?」

「へっへい!おい誰か!!」


いやー権力って気持ちいいね、癖になっちゃいそう。








青い空・白い雲・焼けつくような太陽の下、僕たちは船で移動していた。
帝の許可証の効果は絶大で、本来なら決められた人しか乗ることのできない船への
搭乗を許可されたのだ。何やら大陸への使節団の人の乗る船らしく、けっこうな衣服を纏った人も多い。
驚くべきなのは、その人達と僕の待遇がほぼ同じってことなんだ。


「貴方様は帝に何の命を受けたのでございますか?」


もう何回聞いただろうか。船員がこんな感じで聞いてくる。
唯の子供が帝の許可証を持って搭乗したことは既に船全体に伝わっているようで、ちょっとした話題になっている。


「あはは、そんなたいしたことじゃないですよ?」


何の命といわれても困る。それにこっちは初めての船で、船酔いが激しくてそれどころじゃない。
今にも吐きそうです。


「うぇっぷ。すいません、何か酔ったみたいなんで少し中で休んできます。案内頼めますか」

「はは、初めてにこの波は厳しいでしょうな。おい誰か、この子を中へ案内してやってくれ」

「わかりました。さあ、こちらへいらしてください」

「すいません・・・うぇっぷ」


うう、船がこんなに揺れるなんて聞いてないよ。偉そうにしてたから余計に恥ずかしい・・・。
恥ずかしがる暇もなく案内に続いて中に入ることになったんだけどね。








~side名もなき船長~


子供が帝様の搭乗許可証を持ってきたときは目が飛び出そうになったぜ。宮中の御方ならともかくあんな子供が大陸に渡るなんて今でも信じらんねぇ。どう見たって貴族様の息子って感じでもねえしな。
今大陸では戦が行われているとも聞く。そんなとこに一人で行くあの子が心配でたまんねえ。

まあそんなことは置いておこう。あの子が選んだ道だ、俺にどうこう出来る物でもねえしな。

それより今はもっと気になることがある。

陸を離れるまでは心地よい風が吹いていたのに、今は気持悪い風にかわってやがる。
首筋にビンビンくるってやつだ。こんな予感はよく当たるって俺達船乗りには有名な話だ。
俺達だけじゃねえ、あんな子供まで乗ってんだ。大陸に着くまで荒れてくれるなよ。頼むぜ、海の神様。






――――――――――――――――――――――――――



「うぇ、寝起き最悪」


あのあと宛がわれた部屋で寝てたんだけど、寝起きは最悪。
船酔いは治ってないし、むしろ酷くなってる気がする。
ほら、足元も何か前より揺れてるみたいだし。・・・いやいや、前の比じゃないよこれ!?
なんか上の方からも怒鳴り声が聞こえてくる。風の音?も大きい。とりあえず甲板に出てみよう。







「いや、何あれ?」


船はまだ晴れ模様の空の下にあった。あったんだけど、船の進行方向がマズイ。
何がマズイって?どう見てもある一線から向こうが嵐模様なんだよ。
海の神秘は綺麗だねーとか言ってる場合でもないっす。
このままあの嵐に向かって行くの!?


「野郎ども!船を回せ!まだ陸からそう離れちゃいねえ!今ならまだ間に合うはずだ!!」

「せ、船頭さん!あれ、あの嵐なんですか!?」


船頭の大声に負けないように声を張り上げる。


「見ての通りでさぁ!これからあの嵐から逃げるために引き返します!ご容赦ねがいますよ坊ちゃん!」

「それはいいんです!でも、逃げ切れるんですか!?」


僕としても今すぐ引き返してもらいたい。あんな中に入って行ったら確実に沈む!


「全力を尽くします!でも、難破するにしても陸に近い方がいいでしょう!!」


そりゃそうだ。って、難破すること前提だよねそれ!?
どうしよう!?何か僕にできることないか!?


「頭ぁ!追いつかれます!!」


言ってるそばから!?船が今までより大きく揺れた。こっこれは本気で危ないんじゃないの!?


「くそ、悪い予感は当たるってことか!?
 おまえら!その子と中で震えている貴族様に何か浮くものを持たせてやれ!」

「坊ちゃん、これを持って!あとその足の飾りは外して!浮けなくなりますぜ!!」

「は、はい!」


急いで足の重りを外し、船員の人に渡された物を両手で抱えて壁際に寄る。


「でかい波がくるぞ!何かに掴まれぇ!!」

「おお!?」


     ドゴォッ


鈍い音と共に船が大きく揺れた。


「頭ぁ!船底から浸水している模様!このままじゃ沈みます!!」

「くそったれ、大工の奴らまともな仕事しやがれってんだ!!全員、何かに掴まれ―――――」

「でかい波がきます!!」

「ふ、船が沈む――――――――!?」


最後に見えた光景は大きな波が再び迫る瞬間だった。






――――――――――――――――――――――――――





「あら、この島にモノが流れるなんて珍しいわね」


   だれ?


「生きてる。・・・私たちも人助けをしてる場合じゃないんだけど、仕方ないわね」

「感謝しなさいよ。この私が助けてあげるんだから」
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