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「幽霊たちでリリカルマジカルゥ!」
幽霊爆誕編

幽霊は勇気を出す

 ←幽霊の叫び声 →幽霊は立場を考える
 説得悲しく、母親と望まぬ闘いを強いられるアリシア。
 しかし一番望んでいなかったのは、その相方のゴンベエだった……


(おっおっおっおっおっおっおお!?)
(ゴンベエみぎぃぃ!)
(おっおっおっおっおっおっおお!?)
(次はひだりぃぃ!!)
(お前魔法の補助はどうした!? なんかすごいスピードで走ってるだけだぞ!?)
(雷受け止めたらゴンベエ気絶するじゃない! 貧弱なんだもん!)
(それはない!)
(それがないっ!)
 
 それこそない! こんな状況で気絶すれば間違いなくあの世行きだ! そんな状況でのんびり寝てられるか!
 しかし不思議を見れば気絶すると言う現象は、俺と言う個を構成する重要なファクターでもある。それを問い詰めるのは『何故人は生きているのか?』 と聞くことと同じだぞ。とても深い話になるから止めておいた方が良いぞ、うん。
 と言うか、何で俺は生身で雷から逃げなきゃならないんだ? それに何で走るだけで雷を避けられる。だいたい秒速150km で飛来してくるものなんだぞ。
 なら俺はそれよりも速く走っていると言うのか? いや、ない。むしろあり得て欲しくない。実は雷よりも速く走れる幼女(全裸) なんです、なんて変な電波を受けた存在を俺は認めん!

(ごちゃごちゃ言わずに逃げて!)
(じゃあお前代われよ! 俺はババアを殴れたからもう満足なんだ!)
(絶対に嫌だよ! 誰が好き好んで雷に撃たれるの!?)
(俺は良いのかよ! それに、これはお前の体だろ!?)

「ちょこまかと……死になさい!!」
((二 度 と 死 ね る か !?))

 だいたいなんだこの足場の悪さは。なんか足場の下にすごいカオスな空間が広がっているし、こりゃそろそろ此処もヤバイか? でもちょっと入ってみたい気もする。むしろこの不思議空間に逃げ込んだ方が生きて帰れる可能性が上がるような気がするんだが。

(それだけは絶対に止めてね)
(何故だ?)
(虚数空間。入った者は死ぬ)

 ……それはあれか、エターナルフォースブリザード・相手は死ぬ、みたいな。あれだけ走り回って今まで良く落ちなかったもんだ。
 
「アリシアの体を返しなさい……」
「……」

 しつこいババアめ、いい加減諦めて投降しろ投降。お前は既に包囲されている。俺は既に脚にキている。ここはお互いの妥協案を探ろうじゃないか。
 と言うか、アリシアもこの中にいるんだぞ? それなのに何で雷を落してくる。大事な娘が蒸発してもいいとでも言うのか。

(いやいや、ゴンベエが殴ったからでしょ)
(お前が殴れと言ったからこうなった)
(私が悪いって言うの!?)
(どうして俺が悪くなる!? むしろ説得に失敗したお前の責任だろ!)

 あーだこーだと無益な言い争い。今は俺がアリシアの体を動かしているから顔は無表情で固定されているが、アリシアがこの体を動かせばその名の通り百面相が見えるだろう。一人で顔の表情を変える幼女(裸)……ないな。

「気味の悪い顔ね……アリシアの顔でそんな顔しないで!!」
「……」

 喧しいわ。だが俺が表の場合はこれがデフォだ。ババアにしてみれば琴線に触れるんだろうが、こればっかりは我慢して貰わないと困る。と言うか、いい加減クールになってくれ。いやホント、頼むから。当たれば痛いじゃ済まないから。

「アリシア……そこに居るの…?」

 うん? 確かに俺と一緒にいるぞ。なぁアリシア?
(この電話は現在使われて以下略)
(このクソ幼女。一生不通になってろ)
 
「代わりなさい……」
(だってよ)
(いやだ)
(……は?)
(い や だ 。今のお母さんとは話さないもん)
(何が『話さないもん』 だ馬鹿アリシア。お前が出ないとまたオバサンが怒って雷降らせるだろうが。早く代われ)

 今は止んでいるが、また何時大量の雷が降って来るか解らないんだぞ。ここはお前が甘えるなり何なりして時間を稼ぎ、来るべき救助まで時間を稼ぐことが一番だと思うが。甘えられて油断したところなら気絶させることも出来る、かもしれないしな。

(いやだ)
(アホ。ボケ。頑固野郎)
(バカ。カス。ゴンベエのおたんこなす)
(お、おたんこなす!?)
 
 言うに言うに事欠いておたんこなすだと!? もう一度おたんこなすについて勉強しなおしてこい! 女性が言う様な言葉じゃないんだぞ!

(ゴンベエはお母さんを捕まえて)
(……だからなアリシア、それは無理だ)

 今までの鬼ごっこで良く理解したさ。
 俺は上田先生みたいに空手やら相撲の段位持ちでもなければ、何処ぞの光る剣を振り廻すマスターみたいな力も無いナナシノゴンベエ。出来ることといえば、精々頭を回すか尻を振りながら走り回る程度。正直に言うと、戦闘なんてものは怖くて一歩も動けない。せいぜいが逃げ回るだけだ。
 そんな俺は救世主でも選ばれし者でもないただの元幽霊なんだよ。だから時間を稼いで救助を待とう。すぐに管理局の部隊がやってくるさ。な? 解るか?

(ゴンベエなら出来るよ)
(おいおい……話聞いてたか? それに何でそうまで俺を持ち上げる。今までみたいに貶せばいいだろ。正直に白状したんだぞ?)
(そんなの同じ体に入った時に気付いてたよ。でもそのゴンベエがここまで導いてくれたんだよ? 絶対に無理だって思ってたことを気合いだ、物理学だ、なんて言って引っ張ってくれたから今があるの。だからそんなゴンベエに勇気がないなんて、私には到底思えないよ)
(……買い被り過ぎだ)
(出来るよ。出来る、絶対に出来る。ゴンベエと私なら)
(…お前も?)
(私も。一人じゃ無理でも、二人なら出来る。勇気が足りないなら私が励ましてあげる。怖いのなら私が一緒に居てあげる。だからゴンベエ、私と一緒に頑張ろうよ)

 ……だせぇ。最高にダサい男だな俺。
 俺って奴は、こんな小さな子供に言われないと勇気が出せないほど情けない男だったのか? 尻の穴が小さい奴だったのか? ――――違う、違うよな。俺は男の子だもんな。だったら、意地やツッパリを見せないと男じゃねぇよな!

(…く、ククク……)
(……ゴンベエ?)

 魔法がなんだよ。ババアがなんだよ。雷がなんだよ。俺には励ましてくれる奴がいるじゃねぇか! しかもこんな可愛い女の子がだぜ!? その子に励まされたんだ、燃えんなっ言う方が無理な相談じゃねぇか! だったら自分の尻くらい自分で叩いて、震える脚にだって喝入れてやらァッ!

「だが、断る!」
「なっ!?」
「アリシアは……渡さん!」
「ふっ、ふざけたことを!?」

(いくぜ、アリシア)
(何時でも)

 スタンディングスタート。腰を屈めて、初速からトップスピードでプレシアの下まで駆け抜けてやる。
 俺の言葉に怒り狂ったプレシアが天井に向かって手を上げた。
 ((今っ!!))
 大地を強く蹴って一気に加速。今まで立っていた場所に雷が落ちるが、その衝撃すら利用して加速して一直線にプレシアに向かって走る。
 遠く離れた場所にいるプレシアが驚いた顔で俺たちを見た。当たり前だ。今までは背中を向けて逃げ回っていたんだからな。まさか突っ込んで来るとは思わなかったんだろう。
 だがプレシアも流石はすご腕の魔導師と言ったところか。俺達の進行方向を予測して雷を落してくる。それをジグザクに走りながら回避していると、今も雷を放ち続けているプレシアの周囲に球体が複数個現れた。確かアレはフォトンランサーとか言った魔法。軌道は一直線、初発までコンマ数秒だったはず。
 (頼むぜ相棒……)
 (任せてよ、相棒!)
 発射された閃光、数は18。流石に早い。俺に避けれるのか? 無茶苦茶怖い。ちびりそう。当たったら痛いのか? 俺は死ぬのか? まだかアリシア、防御はまだなのか!?
 (跳んでっ!)
 (…っ!)
 アリシアの声に逆らわず上に跳ぶ。
 自分でもビックリするほどのジャンプ力で全ての閃光を躱せた。防ぐのではなく、避けることになるとは思わなかったが、それよりも身体強化の恩恵に驚いた。思いっきり跳んだら天井に頭が当たるかもしれない。
 (ボサッとしない! 次が来るよ!)
 (おっ、おい!? あれやばくないか!?)
 プレシアの杖の先に乾いた音と共に雷、魔力が集まりだした。素人目に見てもとんでもない魔力の塊が発射の時を今か今かと待っていた。
 (あれはPlasma Smasher!? ゴンベエ、手を前に!)
 (了解!)
 空中で両手を前へ突き出す。どういう原理か知らないが、空中で静止していることを考えると飛んでいるんだろう。飛んでいることに喜んだりするべきなんだろうが、生憎と今はそんな余裕なんかなかった。
 両手の先から黄色の丸い魔法陣が展開されると同時に、プレシアの杖から極太の光線が発射された。とんでもない光線だなおい!? ちょっとは手加減しろ!
 (ちょ、おま……っ! 防御の上から何か痺れて、っ何かビリビリ来てるぞ!?)
 (なんで!? ちゃんとバリアジャケッ……トは構築するの忘れてたー!? と言うか、私まだ裸のままだったー!?)
 (バリア……何だって!?)
 (とっ、とにかくそのまま耐えて! 向こうが終わったら飛行魔法で突っ込んでいくよ!)
 バリアなんとかが非常に気になるなぁおい! 実は常時身を守ってくれる優れモノとかだったらあとで尻叩きだからな!

「堅い……!」
「当たり前だろ」

 天下無敵の美少女が作った防御だぞ。年増ババアの怨念が篭った光線如きで崩れるわけがない。

「アリシア、どうして! そこに居るのに……どうして!?」

 お前が知らないのに俺が知るか。どうしても知りたいのなら、自分の胸に手を当ててよく考えてみな。今の自分と過去の自分がどれだけ違うかをよく考えてみろ。それに気付ければ、コイツだって向き合ってくれるだろうさ。
(魔法が止む……っ今!)
(いっくぜぇぇぇぇぇ!)
 光線を全て耐えきった瞬間、プレシアに向けて急降下。
 もの凄い勢いで迎撃のフォトンランサーが飛んで来るがそんなものは全て無視! 怖いやら当たったら痛いだなんて考えは虚数空間にでも放り投げてしまえ。
 今はそう、ただプレシアを蹴飛ばすことだけ考えろ! 
(行くぞアリシア!)
(合点承知! 魔力変換、雷!)
 右足を突き出した格好のまま、ババアの顔面に向かって思い切り急降下。
 障壁を発動したようだが甘い甘い。これをただの蹴りだと思うなよ? 例のアレに本物の雷を纏わせた、名実ともにあの技なんだからな!

(スゥゥゥゥゥパァァァァァ!)
(イナズマァァァァァァ!)
「「キィィィィィィィックッ!!」」
「な――――っぁぁぁああああ゛!?」
 
 結論――――悪は滅びる。
 ……プレシアがどうなったかって? 綺麗に吹き飛んでオネムだよ。別に詳しい状態なんて言わないでも、ボロ雑巾みたいに伸びてるって言うだけで俺は十分だ。

(もう二度と戦闘なんかしないからな)
(またまたぁ)

 本気だこの野郎。好き好んで命賭けた闘いなんてするか馬鹿野郎。やりたいんならお前がやってろよこんチクショウ。俺は引き籠るからな! 本気で引き籠るからな!

(あはっ! でも……勝っちゃったね)
(そうだな……。後はどこかで米かチキンブリトーでも食べられれば万々歳――「時空管理局だ! 大人しく投降し…なんだこの状況は!?」

 少年、それは俺の言葉だ。なぁ、相棒?
(そうだね、相棒)

 どうやら、俺はいい相棒を手に入れたらしい。ちょっと五月蠅かったりウザかったりするが、頼りになる可愛い相棒だ。

(まぁ、なんだ……その、これからも頼む)
(…うんっ!)

 でもその前に、まずは服を着ような? 目の前の少年が眼をまん丸にして俺達を見てるから。

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